Chromebookのお仕事使い(大学教授編)

今回のChromebookのお仕事使いは大学でどのようにChromebookを使われているのか?最近の学生の実情や、学生や教師の利用方法、Microsoftオフィス(以下MSオフィス)への対応などお話を伺っています。

ご協力頂いたのは大阪人間科学大学 子ども保育学科の岡田雅樹教授。

お話を伺って感じていたのは学生さんに協力して物事を進める学習体験をという想いや、その実現をするためのツールとしてG Suite(ジースイート)や、Chromebookを活用されていて今の学生たちは勉強の取り組む環境から変わってきていることを実感することに。

教職員ではなくとも、教員間と学生との間での使い方の違いは他業種でも参考になると感じていて、こちらの記事は約6,000文字となかなかの文章量がありますが、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

なお、ここでいうG SuiteはGoogleが提供する教育機関向けのアプリセットのこと。MSオフィスと対比させるとExcelならスプレッドシート、Wordならドキュメント、PowerPointならスライドアプリが利用できる他、チャットが出来るHangouts、 課題やクラスの管理をサポートするClassroomなどがあります。

Chromebookのお仕事使いとは?

Chromebookをどのようにお仕事に使われているのかを知れば、その仕事の取り組み方は参考になるし、文章に残すことで目にした方の働き方など大きく変えていくきっかけになるかもしれない。と、始めたのがこちらのインタビュー企画となります。

インタビュー企画といっても、そのままの声を届けてしまうと、その業務に携わる人以外にはイメージがつきにくいものになってしまいがちです。そこで自身というフィルターを通し噛み砕いた形でお伝えしています。

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使われているChromebook

岡田さんが使用されているChromebookはプライベート用としてPixel Slate、ThinkPad 13 Chromebook、ASUS Chromebook Flip C434TAなど、「部屋の中に常に7,8台はChromebookを置いているんですよ。」とおもむろに2台のChromebookを取り出されていました。

学校にあるパソコンを引き出して使う

こうやってChromebookを置いておくと、学生が来て作業をするときに今は当たり前ですけれど、アカウントにログインすればどのChromebookでもいつも通りの環境で使える。

最初こそ学生たちは「今日はこっちのパソコンなの?」と、すごい不思議がっていたけれど、「全部一緒だから大丈夫だよ。」と伝えると、普通に受けいれていますね。「本当だ〜」と。

昔だと「どれを使ったらいいんだろう?」、「いつも使っているこのパソコンを使うよ。」という状態でした。

アクティブラーニングとG Suite

学習方法としてアクティブラーニングという言葉がありますが、アクティブは能動的という意味で、それには他者に積極的に関わるという姿勢が含まれます。他者と関わりはクリエイティビティを高めるけれど、face to faceだと時間と場所に縛られてしまうのでG Suiteのような技術を使って時間と場所をとらわれないのがうまみです。

Chromebook購入のきっかけは?

個人としては最初にMacintosh(以降、Mac)を使っていました。元々大学というのはMacの方が力をいれていて、仕方なしにWindowsも使っている状況でした。

以前の学校ではoffice365を導入していましたが今の大学に赴任したとき、今でいうG Suite、当時のGoogle Apps(グーグルアップス)というのが入っていて、G Suiteを活用するのなら、怪しいけれど試してみようかなぁというのが最初でした。

Chromebookを使った一番最初の印象は意外に良くて未来志向というか、とんでもないものだなと気が付いて…周りの教員にも勧めて一気に広がっていきました。

購入されているChromebookのこだわり

Chromebookを使うということはG Suiteを使うということ。なんでも完成品をやりとりするわけではないので、やっぱり負荷が掛かる。僕自身のという意味では気持ちよく作業が出来るので、なるべくメインメモリがあってCPUが強いモデルが選ぶようにしています。

こういったこだわりは2年半前ぐらいかな。当時はThinkPad 13 ChromebookのCeleronモデルを使っていたのですが、おふぃすかぶ.jpさんがThinkPad 13のCore i5モデルのレビュー記事を書かれていて、もし高性能なCPUを積んだら…ディスプレイを変えたらどうなるのか?と個人輸入して本来のChromebookってこんなに快適なものなのか?!と感じました。

最近ではPixel Slateを海外から転送サービスを利用して購入。20数万円という値段でも躊躇はなかったですし、今も好んで使っています。

下記はおふぃすかぶ.jpの該当記事とPixel Slateの公式サイト

学生が入学してからパソコンを扱うようになるまで

教員と学生は大学のメールアドレスを使っていて、うちはG SuiteなのでGmailのアカウントを持っています。

学生には入学式直後にスマホにGmailのアカウント連携させて「これって命綱だからね。」と、すぐにメールやチャットでの連絡できます。スマホの本体は手持ちのもの。「通信パケットが不足したら学内のWi-Fiを使ってね。」と伝えています。

入学当初はパソコンに不慣れが学生が多い

入学したときにはスマートフォンを使っていても、レポートに取り掛かるうちに「スマホよりパソコンの方が便利で良いのかな?」3年生から卒論が始まるので「Chromebookを買ってしまおうかな?」という感じです。うちの学生は文系なのでパソコンとかあんまり詳しくないし、分かっていなくて最初はみんなキーボードが慣れていないので遅いんですけれど、本来のパソコンの使い方が出来るようになると早いです。

自分たち大学生みたいと感じる学習体験

卒論でアンケート調査を行ったりすることもあるんですがGoogleフォームでアンケート集計をすると、自動的にスプレッドシートに集計されて「自動的に円グラフ出てきた!リアルタイムに円グラフが変わっていく!」と。みんなびっくりしますからね。

紙でアンケートとっている学生もいるんだけれど、「今アンケート渡すから今書いて」と、なるので取るのも集計も大変ですからG Suiteを使うことで時間と場所に縛られないので喜んでいます。

そういった、みんなで共有してひとつのレポートを作っていたりすることを繰り返し経験を積んで「自分たち大学生みたい。」という発言もあって、G Suiteがあって良かったなぁと感じています。

Chromebookを勉強用のパソコンとして選ぶ理由

学生は一番欲しいパソコンは?って聞かれたらMacと答えます。だけど「Macはかっこいいなぁ、だけど高そうだなぁ。なるべく安い方が良いなぁ」と、「だったらChromebookだね」という感じです。たまにゲームがしたい、動画編集したいがといった時にはWindowsやMacを勧めることもありますね。

ゼミの学生だとChromebookを自分で購入する学生、学校にあるChromebookを使う学生もいます。うちの学生の金銭感覚だと値段が1万円違うとだいぶ違うから値段の高い日本で販売されているChromebookを購入せずに海外から安く輸入することも。

学生の中には自分の学費をアルバイトをして払っていて経済的な厳しさを感じています。

Chromebookで不便を感じていない。MSオフィスを使えなくていい理由

うちの多くの学生はWord、Excel、PowerPointとかも使ってきていないから、Chromebookを開いてドキュメントを打たせたとしても、これが変わったパソコンだなと思わない。G Suiteの各サービスも別のものと思っていないし、柔軟にシームレスにとらえています。

ChromebookをMacBookではないと分かるぐらいで違いなんて感じていない。ネット上で目にするのは「やっぱりMSオフィスを使いたい」と言っている意見なんですけれど、それはMSオフィスをある程度使っている人の意見でそうでない人もたくさんいるんです。

鉛筆買ってトンボなのか、別のメーカーなのかで書くこと自体に問題はないですよね。それと同じで単に慣れ親しんだやつか、違うやつか、初めてかの違いを感じるぐらい。WindowsなのかMacなのかChromebookなのかってどうでも良くて、とりあえず道具として使うというだけで、全然Chromebookで不便を感じていないんですよ。

学生とのやりとりにClassroomを活用

学生とのやりとりはClassroomを使っています。

Classroomのひとつ目の役割が掲示板としての機能。災害や事件など刻一刻と変わる情報を公開できて、学生はスマホからClassroomを見ているので見逃さないですしClassroomで大事なお知らせを公開しています。

そして一番大事なのが協調するプロセスを支援する機能。学生と我々が一緒に共同して何かをクリエイティブして作り上げる体験を実現するときにG Suiteの様々な機能を束ねてくれる。面倒もあるけれど細やかな対応が可能で共有してプロセスが可視化、限られた時間を濃密に学ぶことが出来るというのがメリットです。

資料やレポート、ワークシート、作品をお互いにやりとりしながら作り上げることが出来ます。

共有・可視化することで限られた時間を濃密に学ぶことが可能に

今まであれば期限を伝えて、学生はレポートを仕上げて提出。締め切りを過ぎたら誰が出していないか確認、採点していました。

Classroomなら途中段階から支援出来る。「それ違うぞ。」「早くやってね。」と、こういうシステムがないと、何に困っていて手が進まないのか分からない。

またClassroomにはリジェクト機能があって、今までだと提出されてしまったらそれで採点せざる負えなかったものが提出物を確認して「○○が良くないからもう一回やり直しね。」と出来る。

Classroomは共有して作り上げる体験を実現するうつわ、統合する環境を作ってくれているので、学生からするとスプレッドシートやドキュメントとか全然別の物だと思っていないと思います。

声の小さい学生の意見を引き出す

黒板の前に教師がたってやりとりすることって今も昔もあるけれど、スピード感についていけない学生もいる。

でもG Suite上で共有されて可視化されると何回も見て書けたり、スクールカーストじゃないですがみんなを押しのけてまで意見を言いにくい子も、遠慮せず意見を書き込めたりゆっくり考えて書き込める。

今まで発表していなかった学生が、何も考えていなかったわけではないし、意見がなかったわけではない。声の小さい学生が考えているみんなが知らない意見が共有されることがすごくいい。

教員のパソコン使い方は情報管理を重視、サイボウズとG Suiteを中心に据える

僕が一応学科のリーダーになっていますので、うちの学科の教員はMSオフィスを使わないルールでやっています。ややこしいので。みんな最初は嫌がるんですけれど、今はたぶんG Suite使うのやめちゃうよといったら困ってしまうと思います。

G Suiteを使う前はメールやりとりが中心だったのですが、それぞれ思い思いにダウンロード、書き込んで修正したことろ赤をいれてメール添付。ファイルのバージョン管理がめちゃくちゃだったので、G Suiteを使おうということに。

議論はグループウェアのサイボウズで、G Suiteの共有リンクも活用

教員間はサイボウズとG Suiteを連携して使っています。

みんなで議論するような時はサイボウズ上でG Suiteの共有のリンクを張り付ける形です。サイボウズでもバージョン管理ができるけれど、生々しく、リアルに編集し合いたいのでG Suiteを使っています。どこにあのファイルがいったんだといったトラブルもありません。

G Suiteは単なる共有ではなくて、講義資料や共同研究など修正し合うなど途中の段階の一緒になってみんなでひとつのものを作り上げるために使用、完成したらPDFにして書庫に保管しています。

大学でのUSB禁止令とセキュリティポリシー

今どきの大学ではUSBフラッシュメモリーは使用やパソコンの持ち出しも禁止になっていて、教師も学生も「ではデータのやりとりどうする?」っていたときにGoogleドライブで共有するのでChromebookを使うのが自然な流れでした。

Chromebookだと自然にファイルを共有して、なるべくローカルドライブを使わずに済みます。

大学だと学生の成績のデータも扱かったり、高校生の情報もあるので情報流出を防ぐためのUSB禁止令は多くの大学で行われていると思いますし、使っているパソコンを外に持ち出さないこともルールになっていると思います。

USBを使わなければUSBをなくさないですし、もし大学の使っているパソコンがChromebookだとたとえ置き引きにあってもローカルにデータがないので情報流出を防げますから。

MSオフィスを扱うシーン

会社も同じだと思うのですが、ルールを適用できるのは自分のテリトリーまで、学内の出張や研究費に関するもの、また国へ提出する書類はWordやExcelファイルです。

だけどこれまでMacでMSオフィスを使っていても、結局Windowsで若干ズレを修正しないといけなかったことに変わりはなくて、Chromebookの方が修正が多いけれど、Windowsにもっていく手間は同じかなと。

ちなみに学内の書式はWordとExcelですが、僕らの学科だけは完全にG Suite上でずれもなく再現してしまっているので全く問題もないという…凄く快適で誰も文句を言わないです。

保護者の方とのやりとりはメール中心

学生の保護者とのメールを使っての連絡がほとんどで、あとはゼミの研究室へ電話があることも。Classroomで保護者を参加させてしまうこともできるのだけど、うちはまだしていなくてGmailがメインですね。

Gmailでもスレッド表示してくれますが、分かりにくい。それを考えるとSlackやHangoutsのようなチャットの方が分かりやすいので、Hangoutでやりとりが出来たら良いと思うのだけど…今のところG Suiteでは組織外との人とはやりとりできないようになっています。

卒業後、社会人になったとしても学んだ経験は活きる

学生の卒業後の就職先を考えるとあまり学校で使ったこのスキルを直接活かす場は少ないかもしれません。

ただ、何か新しいものを作るときに協調作業をした経験は大切なこと。自然とみんなとブレストする。環境がなかったとしてもアイデアの出し方というのは身についていると思いますね。

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【編集後記】
最近は仕事の合間に新海誠監督の最新作、『天気の子』の聖地巡礼へ。
舞台は東京周辺なので、近場の代々木や高円寺をまずクリア。

印象的なビルの代々木会館は8月に取り壊しとのことでして、今のうちにと写真を残しておきました。

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ABOUTこの記事をかいた人

守屋冬樹(もりや ふゆき)

公認会計士、税理士。高校時代の出会いがきっかけで公認会計士を目指すと決意。2007年(22歳)高卒での公認会計士試験合格を実現。準大手監査法人に勤務しつつ2011年(25歳)公認会計士登録。2012年(26歳)税理士となり守屋冬樹税理士事務所を創設。 さらに詳細なプロフィール/お仕事のご依頼